六華苑のお話、まだまだ続きます。和館の設計者は工匠棟梁 伊藤末次郎さん。
カッコいいよね、棟梁とか大工さんとか、自分の腕一本で勝負する巧(たくみ)の職業、尊敬しちゃいます。
一見ふつうの民家のように見えますが、そこはやっぱりお金持ちが建てた家。
すごい大きさの屋久杉の一枚板とか、柾目の床柱とか、自然の力とお金を積まなきゃ手に入らないような材を使って建てている、そういう素晴らしさはもちろんのこと、人のワザの素晴らしさに心動かされます。
↓たとえば、洋館と和館をつなぐこの部分。
写真では見づらいけど、洋館のドアの向こうに広がるのは和の世界。メートルと尺という寸法の違うふたつの世界を、一分のズレもなく見事に繋げているのです。
これを見たある建築のプロが「ここに火花が散っている」と言ったそうです。
和と洋それぞれのプロが、お互いの世界を貫いた上での見事な融合。しかし、そこには一歩も譲れない巧の意地と誇りが見え隠れしているのでしょう。
どちらも見たうえで、私はやっぱり和館に魅かれました。
洋館としては、5月に小樽で見た旧日本郵船株式会社の建物の方が好きかも。
日本の感性を生かした洋館をつくっていたから。
西洋人が洋館をきちんと建てれるのはある意味当たり前。でも私が好きな洋館は、たぶん、日本的な要素がからんだ洋の世界なんだろうと思います。
和館は洋館と較べると、簡素で直線的。しかしそれが清々しく美しい。
そして、柱と床と天井の継ぎ目の美しさ、正確さに見るような、こまかい点、見えない部分もおろそかにしない、しっかりとした仕事ぶり。
これから先、こんな仕事のできる人はもういなくなってしまうんだろうな・・・。
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