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人生の音色

終わってしまった父の誕生日。これ!と思うものがないまま実家に寄った私に、父がふとこんな話をしてくれました。

「おまえ、鳥の歌って知ってるか?」

「パブロ・カザルス?チェロの。」

「そう。あの曲が聴きたいなあ。」

それはパブロ・カザルスが1971年10月24日の国連デー記念コンサートの最後に弾いた『鳥の歌』。

「私はもう14年もチェロの公開演奏をしていませんが、今日は弾きたくなりました。これから短いカタルーニャの民謡『鳥の歌』を弾きます。私の故郷のカタル-ニャでは、鳥たちは平和(ピース)、平和(ピース)!と鳴きながら飛んでいるのです。この曲は私の故郷、カタルーニャの魂なのです。」

こんな風に客席に語りかけ、右手を鳥のように動かしながら弾き始めたそうです。

彼の故郷スペインでは、フランコが独裁政権を握っていた時のこと。父はこの時の演奏を録画した番組を見ていました。チェロの音に演奏者の唸り声が重なって、それが邪魔になるどころかとても胸に迫る演奏だったそうです。その時の『鳥の歌』を聴きたいと言うのです。

41qb8yms6hl ネットで調べてみたけれど、国連デーの録音版は見つからない。代わりに10年前の1961年11月、ケネディ大統領に招待されてホワイトハウスで演奏した時のライブ版を見つけました。これに唸り声が入っているかはわからないけど、祈るような気持ちで早速Amazonに注文しました。それが昨日届いたのでドキドキしながら早速聴いてみました。

名まえだけは知っていますが、パブロ・カザルスのチェロを聴くのは、はじめてです。知らないことをいいことに、先入観のないまま軽い気持ちで聴きはじめた私の胸に、出だしの音がぐっと飛び込んできました。1曲目はメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番ニ短調op.49。はじめて聴くこの曲にまず引き込まれてしまいました。

なんだろう。気持ちが揺さぶられます、この音。涙が出そう。

古いライブ録音なので、音質は決してよいとは言えないでしょう。でも演奏の向こうに人の放つ雑音や演奏者の動きを想像させるような音が入っていて、会場の雰囲気ごと音楽が伝わってきます。

楽器って、どうして奏でる人によって違う音色を出すんだろう。例えば私が聴いたことのあるヨーヨー・マとパブロ・カザルスの音は違う。違うことが2人聴いてみるとわかる。ヨーヨー・マはもっと艶っぽくて、カザルスは泣きたくなるような切ない重さがある。背負ったなにかをちゃんと感じさせる音。

音色にもちゃんと人生が出る。

父が求めている音が、この中にあるといいな。

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コメント

☆inoemonさん
設備完璧のデジタル録音を聞き慣れてると、この音聞いただけで「なんじゃいこりゃ?!」かもしれないけれど。
う~ん。なんでか胸が詰まるんですよね・・・。
って音でした。

ところで若冲行きますヨ~!
歌舞伎も行きたい!!

へぇ~、すごい。
聞いてみたくなっちゃった。

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